第二章 "信じるということ"
結成10周年記念ライブを日本武道館で…。心を決め、着地点を定め動き出したパシフィック。
武道館を攻略する。言葉では容易い宣戦布告。発した時点でカウントダウンが始まっているのだ。体力・精神・感性…全ての照準を武道館へ。思い込みと勢いから来るパワーは強い!
そんな状態で2007年の幕が開いた…。言葉に発する為には具体的な策が必要だ。
さてどうする??メンバー&スタッフに問いかける。
抽象的なイメージではなく、具体的な作戦だ。脳みそが乾く程搾り出した事案。けれど出てくるそれら全ては「理想論」。
大阪活動時代、既に行っていた戦略は無かった事、間違っていた事として敢えて捨て去り、新たな展開を…とは言うが、全て何処かの二番煎じでしかならず。
発想の転換がこれほどまでに難易な事だとは…。
当然と言えば当然。だって全く無名な上京したてのインディーズバンドがたったの2年で武道館ライブを行うなんて…「普通」では考えられない事。そう、「普通」では…。
これと言った具体的な戦略も浮かばず、「とにかくライブをして対バン、オーディエンス、ライブハウススタッフ達にアピールしよう!」と…。そう思い心新たに地道なライブブッキング…。
しかし気持ちとは裏腹に集客のないバンド同士の集客のないステージ…。武道館ライブへのヴィジョンを掲げるどころか、満足なライブすら行えない。
活動資金も徐々に底をつき音楽どころか、ただ生きる為の金策を要し、100%音楽に身を投じる事が出来ない現状…。
これが東京なのか?やはり現実は甘くなかった。
言わずと焦る胸の内、だけど時間は止まらない…。楽曲制作プロジェクトチームと提携し、挑もうとするも頓挫し、三歩すすんで二歩どころか四歩も五歩も下がってしまうかの状況。
しかしどうしてもあの場所で…神聖なる武道館でライブがしたい…。
そんな想いだけ募らせ、悶々とした状態で2007年が終わった。
2008年2月。トシカツが尊敬するアーティスト、忌野清志郎氏が日本武道館にて「完全復活祭」と称してワンマンライブを開催。スターマンと初めて武道館の中へ入る。天井から吊り下げられた日の丸国旗…思ったより距離を感じないステージ…しかし辿り着くのは容易な事ではない。改めて思い知らされる。
キヨシローから搾り出される魂の叫びに加え、音楽の神が舞い降りているであろう空間にただただ圧倒される。
「ここに立つ為には一体…。」
どんな小細工をしても駄目だ。音の神には小細工は通じない。
「パシフィックが武道館に立つ為に一番必要であり、今一番やらなければならない事は「究極の音楽」を創り上げる事。それしかない。」 リーダーのスターマンは言った。
パシフィックの個性。三者三様のメンバー感。アコースティックギター、ベース、ドラムスを前面にフューチャーした一風変わった変則スリーピーススタイル。
「エンターテイメント」を強烈に意識し、「音楽」を「見せる(魅せる)アート」と化するステージ。
それに加え「究極の音楽」なのだ。パシフィックだからこそ、この3人だからこそ作れるメロディ、リズム、ステージ。
自分を信じ、メンバーを信じ、スタッフを信じ、結集した者達から発するチカラは究極に強い。そう思うと自然とチカラが漲る。何故か余裕をも感じる。
俺たちだったら行けそうや…。そんな根拠の無い余裕ですら本気に感じるのだ。
「他には無い、俺たちにしか出せない音を出す」
今新たなビジョンを背に走り出したパシフィック。
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